海藻について
美肌効果に関して近年研究が進んできた海藻や、紀元前から用いられてきた薬草や
植物の内部でこれほど多様な有機化合物が生成されていることに驚かされますが、
世界の生理科学者たちによって、体や肌に与える効果や、まだ解明されていない
作用のメカニズムに関して、現在でも研究が続けられています。
ラミナリア ディギタータ
ラミナリア・ディギタータは、コンブ科の大きな褐藻の一種で、主に北大西洋と北極海の浅い沿岸に生息しています。
ブルターニュの海域は、世界屈指の激しい潮の干満差(12m)によって、自然の浄化作用が飛び抜けて良いため、この海域には肌に最高の成果をもたらす品質の高い海藻が繁殖しています。
ラミナリア・ディギタータには、ビタミン、ミネラル、微量元素が豊富に含まれていて、カルシウム、カリウム、ヨウ素、鉄分、カロチン、タンパク質、アルギン酸、ラミナラン、マンニトール、ナイアシン、リン、ビタミンB群、ビタミンCおよび他の多くの微量元素が含まれます。また、海藻プリフェノール・フロロタンニンやカルテノイドの一種であるフコキサンチンを含んでいます。
フコキサンチンの脂肪燃焼特性は、糖尿病疾患への効果が報告されていて、体の健康はもちろん、肌の機能のためにも、貢献してくれています。
トチャカ
日本名は「トチャカ」であまり親しみのない海藻ですが、ヨーロッパでは「アイリッシュモス」と呼ばれていて、喉の痛み対策にお菓子に混ぜて食べていたり、紀元前からアーユルベーダで腎臓疾患や呼吸器の粘膜保護に使われるなど、薬草としても親しまれていた海藻です。
紅色海藻に含まれるネバネバ成分『フコイダン』は、1996年、日本癌学会によってガン抑制効果があると報告され、注目されるようになりました。
海藻コロイド『フコイダン』には、いろいろな薬効:コレステロール低下作用、血糖値上昇抑制作用、中性脂肪抑制作用、抗アレルギー作用、 血液凝固阻止作用、潰瘍治癒促進作用、抗ウイルス・ 抗菌作用、ピロリ菌感染阻害作用、育毛作用、保湿作用などがあるとのことですが、人間は無意識に海藻の恩恵を受けていると改めて感じてしまいます。
海藻はとても神秘的で、まだ知られていないメカニズムもたくさんあります!
ウルバ ラクツカ
海藻の形状から別名シーレタスとも呼ばれ、優良な栄養源と考えられています。
コバラミンや、ビタミンC・A・ビタミンB群で水溶性のナイアシン、ビタミンB1とB12を豊富に含有。脳や神経系の恒常性の維持や血液の形成に大きな役割を果たしています。ウルバ ラクツカのタンパク質濃度は、乾燥質量の最大33%を占めています。
含まれている栄養価は、100グラムあたり87mgの鉄分と700mgのカルシウムです。また、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ヨウ素、アルミニウム、マンガン、ニッケルが豊富で、可溶性窒素、リン、そして多数の微量元素が含有されています。
ヒバマタ
褐色藻類ヒバマタをはじめとする海藻類のネバネバ成分は、糖の分子が無数につながった食物繊維の一種で多糖『フコイダン』とよばれています。フコイダンは、褐海藻のいくつかの種類から抽出できますが、生体を構成する多糖類や核酸の構成成分の一種、フコースが無数に繋がって硫酸基と結合した多糖です。
難しい言葉が多いのですが、医学界では、抗腫瘍や抗血管新生活性、免疫調節、抗炎症、抗凝血、抗血栓、抗酸化活性など、多種多様な生物活性を持っていることが研究によって分かってきています。100年前に発見されて以来、研究が続けられていますが、未だに謎が残っている不思議な成分です。
食品の世界でも、海藻のフロロタンニン(海藻に含まれるポリフェノール)など、生物由来の抗酸化物が注目されはじめています。褐色藻類は蛋白質,ビタミンや、ヨウ素・亜鉛などミネラルによる美肌効果だけではなく、陸生生物には含まれない重要な生物活性成分を持っています。
サルガッスム ムティカム
ホンダワラ科の海藻の一種ですが、形状もアカモクと似ていてネバネバの強い海藻です。このネバネバはフコイダンという成分ですが、硫酸多糖の一種で、世界中で現在も研究が進められており、さまざまな効果が期待できると注目されています。
もう一つの特徴は、フコキサンチンで、これはカロテノイドの一種です。褐色類の海藻に多く見られる赤色の成分です。このフコキサンチンも研究が進められており、さまざまな効果が期待できると注目されています。
抗酸化作用を有するフコキサンチンは体内で発生した酸化ストレスから体を守るのではないかと考えられています。この海藻には、フコサキサンチンがワカメやコンブよりも多く含まれています。
ウンダリア ピナティフィダ
学名がウンダリア ピナティフィダですが、この海藻はワカメです。日本の貨物船の船底などにワカメが付着して世界の海に運ばれたと考えられています。フランスのブルターニュのイロワーズ海にも自生するようになりました。
ブルターニュの海では、世界でも最高の干満差のせいで、海水の純度が高く、高品質で栄養価の高いフランス産のワカメを収穫することができます。
食用として馴染みのある海藻ですが、アスパラギン酸・グルタミン酸・ロイシンをはじめ、コラーゲンの構成アミノ酸、プロリン・トレオニン・リシンなど18種類のアミ酸やビタミンA、K、E,、Cと葉酸B9とミネラル・微量元素(マンガンや銅など)、そして、脂肪酸類(EPA・パルミトレイン酸・オレイン酸など7種類)を含有していますが、ヨーロッパでも貴重な栄養源として、また、化粧品の原料として再認識されています。
ダルス
大西洋北部沿岸に自生。アイルランド料理などでは食用とされていて何世紀にもわたって収穫されてきた紅色海藻。ダルスは必要栄養量の良い海藻で、カルシウム、カリウム、鉄、ビタミンA、ビタミンC、ヨウ素、および微量元素も豊富に含まれています。特に、ビタミンB6、鉄分、ビタミンB12、フッ化物を豊富に含有していることが特徴です。
抽出物の高レベルの葉酸、マグネシウム、カルシウム、鉄、パントテン酸(ビタミンB5)、アミノ酸類は、肌機能を覚醒させ、細胞の成長を促進し、皮膚コンディションを改善してくれます。
この海藻のネバネバは、肌の表面に薄い皮膜を作り、製品の栄養素をより簡単に吸収できるようにしてくれます。また、天然の皮膚軟化剤なので、皮膚に水分を保ち、環境によるダメージから保護してくれます。また、植物性コレステロールを含有し、細胞間脂質セラミド生成をサポートして滑らかでしなやかな肌を保ってくれます。
カリブレファリス ジュバタ
この海藻に含まれるカラギーナンとは、紅藻類から抽出される食物繊維のひとつで、寒天に似た組成をもっています。スコットランドのアイリッシュモス(トチャカ)という海藻から抽出されることが多いのですが、フランスのブルターニュに生息するカリブレファリス ジュバタにもカラギーナンが含有されています。食品や化粧品のゲル化剤・安定剤として使われるイメージの強いカラギーナンですが、近年の研究により、ウイルスに対抗する力を持つことがわかってきました。さらに、含有されているマグネシウム、リン、亜鉛などの栄養素が免疫力を高める働きをしてくれるといわれています。
抗酸化物質をはじめ、肌に欠かせない脂肪酸、デトックスをサポートする硫黄や代謝をサポートするヨウ素も豊富に含まれていてコスメの分野でも研究が続けられています。
ピラエラ リトラリス
Sea felt(海のフェルト)とも呼ばれていて、岩の上に生息する茶色い無数の糸状の海藻です。褐藻類のヌメリに含まれる成分をフコイダンと呼んでいますが、乾燥や細菌から身を守るバリア機能があることから、現在も様々な研究が進められているほど健康価値の高い成分と考えられています。また、β-カロテンのほかに,フコキサンチンという抗酸化作用のある赤褐色の色素を含有しています。
私たちのからだは20種類のアミノ酸からできていますが、からだの中でつくることのできない必須アミノ酸と、からだの中でつくられる非必須アミノ酸とに分けられます。この海藻は、コラーゲンの33%を占めるアミノ酸・グリシンや,コラーゲンの材料となるアミノ酸・プロリンや、角層の保湿効果もある19種類もの必須アミノ酸と非必須アミノ酸のほとんどを含有しています。
マルバチシマクロノリ
イギリスのウェールズ地方などでは古くから食用にされているミネラルや微量元素を含有する栄養価の高い海藻です。北大西洋に生息していますが、今では化粧品に欠かせない海藻なので、ヨーロッパの産業界でも、重要な海産物となっています。
含有されているフェレドキシンは、鉄と硫黄から構成されたタンパク質で、生物学的に重要なさまざまな酸化還元反応に関与しています。海藻や植物界に存在していて植物型フェレドキシンと呼ばれていますが、その多彩な機能のために、さらに研究がされています。また、フェレドキシンが持つ蛋白質の構造安定化因子としての様々な機能が、細胞を守る役割を担ってくれます。
UVプロテクションクリームやエイジングケアクリームになくてはならない成分を与えてくれる海藻です。